理由もないのに心が不安が続くのは?
どんな人でも落ち込んだり、イライラしたりするものですが、普通は明確な原因があるので、その原因がなくなってしまえば気分も改善します。
しかし、それでも落ち込みやイライラが継続してしまう人もいます。強い悲しみ、絶望感などの強烈なネガティブな感情が継続すると、脳の記憶に関わる伝達物質であるアセチルコリンの受容体が増加して脳内物質のバランスがくずれてしまうので、「気分の落ち込みが継続」「気分の変調が激しくなる」(ムードスウィング)「躁状態の長期間継続」など、不安定な感情が持続してしまいます。
前回は不安な感情が続く時の原因についてお話ししました。
今回はその対策について考えてみましょう。
不安な感情が続く時の対策
- タウリンを摂取
アセチルコリンのような興奮性伝達物質の効果を相殺します。
タウリン不足は甲状腺の機能を低下させ、眠気、落ち込みどを引き起こします。 - ビタミンB群と魚油を摂取
ビタミンB群は脳と身体でブドウ糖をエネルギーにするのに必要です。
ビタミンB群が脳で働くために神経細胞の中に取り込む時にオメガ3脂肪酸(魚油:EPA、DHA)が必要です。
ビタミン様物質(かつてはビタミンB群のひとつとして扱われていた)のひとつであるイノシトールはセロトニンの効果を高める物質に変換します。
脳内物質をつくるのにビタミンB6が必要です。 - 大量のビタミンCを摂取する
脳や体が受けたダメージから回復するのに役立ちます。
脳内物質をつくるのにビタミンCが必要です。 - セロトニンとノルアドレナリンの材料となるアミノ酸を摂る
セロトニンはトリプトファンから、ノルアドレナリンはチロシンから作られます。
脳のアクセルとなる伝達物質をつくるアミノ酸は、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシンの3つです。
トリプトファンを摂取する時(お肉、大豆製品など)と空腹の時に果物ジュースと一緒にとると脳へのトリプトファンの供給が増えて効果的です。
- セントジョーンズワートを摂る
セントジョーンズワート(和名:セイヨウオトギリソウ)は、脳内でセロトニンが効率よく働くのを助けます。 - 必須脂肪酸を摂る
脳の60%は脂肪で構成されているので、気分や行動をコントロールする脳の働き具合は、摂取する脂肪の種類と量に大きく左右されます。オメガ3系脂肪酸が不足すると、脳の興奮が足りなくなります。
血中の中性脂肪とコレステロール(LDLコレステロール)の値が高いと、血液が流れにくくなるため、酸素と栄養素が細胞に円滑に送り届けられなくなるので状態が一層悪化します。
コレステロールは細胞の膜の内部を作るのに、なくてはならない成分であるばかりか、テストステロン(男性ホルモン)、エストロゲン(女性ホルモン)、コルチゾールなどの重要なホルモンの生産には欠かせない物質です。 - トランス型脂肪酸を控える
トランス型脂肪酸には、マーガリン、ショートニング、マヨネーズ、ケーキ、クラッカー、ポテトチップス、トルティーヤチップ(メキシコ料理の「タコス」などに用いられる小麦粉の丸い薄焼き)、サラダドレッシング(オリーブ油を除く)、フレンチフライ、チキンナゲット、シュークリームなどがあります。
トランス型には酵素がうまく働かないので、本来の脂肪酸の持っている役割が果たせなくなります。トランス型がたくさん混ざれば、脳がうまく機能しなくなります。
脂肪酸の役割は①効率の良いエネルギー源になること②神経細胞の膜になること③ステロイドホルモンの原料となること④脂溶性ビタミン(A,D,E)の吸収を助けること - ミネラルをバランスよく摂る
ミネラルは心の平安と感情の安定に欠かせません。
マグネシウムが不足すると気分が落ち込みやすくなりますし、カルシウム不足イライラ、心配を起こします。亜鉛不足は人を無感動で無気力にします。
脳内の亜鉛レベルが低下すると、銅が有害なレベルまで上昇し、恐れやパラノイアを発生させます。
鉄不足の症状は、体に力が入らない、疲弊、食欲減退、頭痛などです。
マンガンが不足するとセロトニンやノルアドレナリンといった抗うつ性の伝達物質の生産が不十分になり、気分がおちこみやすくなります。
また、マンガンは、血糖値を安定させ、低血糖によってムードスイングが起こるのを防いでいます。 - 砂糖の過剰摂取をひかえる
砂糖や精製されたデンプンを多く含んだ食べ物の食べすぎやカフェイン、ニコチンの大量摂取をすると、高くなりすぎた血糖値を下げるために大量のインスリンが放出され、低血糖の状態に陥ってしまいます。
低血糖になると脳の適切な活動のために利用できるブドウ糖が不足し、神経質、イライラ、消耗、気落ち、めまい、眠気、忘れやすい、不眠症、継続的な不安、心臓のドキドキなどが起こります。
心の状態を安定させるために脳内のバランスを調える食事を心がけましょう。
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