睡眠の質を高める習慣
快眠のために夕方できること
- 夕方以降は強い光を浴びないこと
光は体内時計をコントロールしています。睡眠の準備に入る夕方以降はだんだん暗い環境で過ごすようにしていきましょう。夕方以降にコンビニなどで強い光を浴びると、体内時計が狂って寝つきが悪くなります。特にブルーライト(青い光:パソコン・スマートフォンなどの液晶画面から出ています)には要注意です。
- 眠る1時間前は、ディスプレイを見ないこと
テレビ、コンピュータ、タブレット、スマートフォンなどの画面を見ていると、チカチカした光目に入って脳は興奮状態になってしまいます。メラトニン(睡眠ホルモン)の分泌を抑えられてしまいます。 - タバコは眠る1時間前までにすること
ニコチンは交感神経を刺激してアドレナリンの分泌を促するので、タバコを吸うと心身が興奮します。タバコを吸うことでリラックスすると感じる人は多いのですが、実際は興奮・覚醒作用のほうが強力なのです。 - カフェインの摂取は眠る4時間前までにすること
カフェインには興奮作用があり、若い人で1~2時間、高齢者では4~5時間以上体内に残ります。また生まれつきカフェインに弱人もいますので、そんな人は夕方以降はカフェイン飲料は避けてノンカフェインの麦茶やハーブティに変えましょう。チョコレートやココア、栄養ドリンクの一部にもカフェインが含まれているので注意してください。 - 夕方に軽い運動をすること
体温の1日の変化にはリズムがあります。深夜から早朝に低く、午後の遅い時間から夕方に高くなるのです。このリズムがはっきりしていると睡眠の質が向上します。夕方に軽い運動をすることでこのリズムにメリハリがつきます。 - 眠る時刻の3時間前までに夕食を終えよう
胃腸にも第2の体内時計があります。消化のために胃腸が忙しく働いている状態では、質の良い睡眠はとれません。ですから、夕食は消化に時間がかかものは避けて、消化の良いものを食べるようにしましょう。 - 晩酌は適度な量までにすること
晩酌は日本酒1合、ビール大瓶1本、ワインはグラス2杯までにしておきましょう。アルコールには脳の覚醒中枢を麻痺させ催眠作用を発揮します。適度な量のアルコールは寝つきをよくしてくれますが、飲みすぎると睡眠の質が低下し、中途覚醒が増えてしまいます。 - 入眠1~2時間前に入浴すること
体温が低下する時に眠気が強くなります。入浴すると体温上昇するので、入浴後1~2時間かけて体温がて化することで眠気が強くなります。寝床1~2時間前に、40~42℃(体温+5度程度)のぬるめのお湯に20~30分つかりましょう。 - 睡眠前にリラックスタイムを作ること
眠る1~2時間前はリラックスタイムを作りましょう。その日に溜まったストレスは眠る前に解消しておきましょう。大好きな趣味(興奮するものは避けましょう)や、軽めの読書、静かな音楽の鑑賞、アロマテラピーなどをして、意識的にリラックスしましょう。 - 眠くなってから寝床に入ること
人間は絶えず環境の影響を受けています。眠くないのに寝床に入って「眠れない」と悩んでいると、寝床と眠れずに苦しむという2つの事柄の間に条件反射が出来上がってしまいます。「寝床は眠れずに苦しむ場所」と体が覚えてしまう、寝床に入ると眠れないと苦しみ始めるようになってしまって、眠れなくなってしまいます。 - 寝床を睡眠とセックス以外に使わないこと
寝床と睡眠に条件反射を作り、寝床に入ると眠くなるようにるようしましょう。昼夜を問わず、寝床で本を読む、テレビを見る、お菓子を食べるなどは一切やめましょう。 - 眠れない時に寝床い続けないこと
寝床に就いて30分寝つけなかったら、寝床から起き出して他の部屋に行きましょう。寝床に横たわって目をつぶっても、なかなか寝つけないのは辛いものです。一般的には寝床に入ってから15分以内に寝ついてしまいますので、30分たっても眠れないなら、起きて他の部屋で楽しいことをして過ごしましょう。再び眠くなってきたら、寝床に入るようにしてください。眠れないのに寝床にいると「眠れずに苦しむ」と「寝床に入る」が条件反射で結びついてしまいます。
快眠のために朝できること
- 毎日一定の時刻に起きること
睡眠と起床が規則正しいリズムで繰り返されることで、体内時計が安定して健康な毎日を過ごせます。睡眠時間の長短だけでなく、睡眠と起床のリズムにも気を配りましょう。 - 休日でも平日と+-2時間以内に起きること
平日の睡眠不足を補うために、休日に長く眠る人は多いものです。しかし、寝過ぎると体内時計が狂ってしまいます。体内時計が狂ってしまうと、睡眠の質が低下して熟睡感が減ったり、平日の睡眠リズムが狂ってしまいます。休日はゆっくりと眠りたいと考えるかもしれませんが、平日の起床時間と比べて+-2時間以内に起床するようにしてください。 - 起床後布団の中で軽く体を動かすこと
低血圧の人や低体温の人は、朝なかなか起きられないものです。目が覚めたら布団の中でストレッチなどの軽い運動をして血圧と体温を上げましょう。低血糖の人は枕元に、アンパン、チョコ、飴、バナナなど血糖値を上げやすいおやつやお菓子、フルーツなどを置いておきましょう。 - 起床後すぐに太陽の光を浴びること
人の体内時計は1周期が約25時間なので、1日の周期である24時間と少しズレています。体内時計は朝の光を浴びることでリセットされるので、朝の太陽を浴びないと体内時計がリセットされずにズレたまま担ってしまいます。起床後すぐに太陽の光を浴びることで、体内時計がリセットされて新しい1日が始まるのです。外に出なくても、窓のカーテンを開けて近くに行くだけで必要な量の光を浴びることができます。 - 起床後熱めのシャワーを浴びること
熱いお湯はを浴びることで交感神経が刺激されます。交感神経が活発に働くことで、心身がの活動の準備が促されるのです。爽快感が増し、疲労感が減少して目覚めの効果が実感でるでしょう。モチベーションや集中度が上がるという報告もあります。43度以上の熱いお風呂に入るのもオススメです。 - 朝食をとること
お腹に食べ物が入ることで胃腸にある第2の体内時計が動き始めます。脳の栄養源はブドウ糖だけですが、血液中のブドウ糖の量(血糖値)は、睡眠中には何も食べられないので朝食前は1日のうちで最も低くなっています。しっかり朝ごはんを食べて、最高の状態で1日のスタートを切る準備をしましょう。
快眠のために昼できること
- 日中の活動量を増やすこと
日中の活動量が高いと睡眠の質が向上します。1日に8000歩から1万歩は歩きましょう。運動不足気味の人は、ウォーキングから始めてみましょう。時間のない人はエスカレーターやエレベーターを使うのをやめたり、目的地の一駅手前で電車を降りて降りて歩くようにするなど、ちょっとした工夫で1日の歩数を稼ぎましょう。 - 布団を干すこと
睡眠環境が悪いと睡眠の質は低下します。不潔な布団で眠ると睡眠の質は低下してしまいます。湿ったままの布団は、ダニやカビでいっぱいです。1週間に1回は掛け布団だけでなく、敷き布団も干すようにしましょう。部屋の換気も心がけましょう。 - 午後3時以降は仮眠・居眠りしないこと
仮眠を取るのはできるだけ午前中にしましょう。昼寝をするなら正午から午後3時までにしてください。20分以内にしておきましょう。 - 昼寝の前に、カフェインを摂る
カフェインの刺激作用は、体に吸収されてから30分たつと発揮されます。ですから、昼寝からスッキリ目覚めるために、眠る前にカフェインを摂っておくことをお勧めします。起きた後のけだるい感じも、これで解消です。
快眠のために夏できること
- 寝室の室温を26~29度、湿度50~60%にすること
高温多湿の日本の夏の夜を快適に乗り切るために、温度や湿度のコントロールを上手にすることが大切です。眠気は体温が下がる時に眠くなります。室温が高いともちろん体温は下がりにくくなりますし、湿度が高いと汗が蒸発しにくいため体温が下がりにくくなってしまいます。寝床に入ってから適度に体温が体温が低下するように、エアコンや扇風機を使ったり、風通しの良い家具の配置などを考えて温度と湿度をコントロールしてください。寝ついてからの3時間を理想的な環境に保つことで高い質の睡眠が得られますので、冷えすぎを防ぐためには入眠後3時間でエアコンが切れるようにしておきましょう。人間の眠気は深部体温が下がるタイミングに合わせてやってくることです。深部体温は午後8時くらいから少しずつ下がります。ベッドに入ったあとも深部体温の低下は続いて、やがて自然な眠りがおとずれます。 - シーツの素材をリネンに変えること
部屋全体の湿度のコントロールも大切ですが、「寝床の湿度」のコントロールがとても重要です。特に背中付近の湿度には注意が必要です。背中と敷布団のあいだには空間があまりないため、湿気がこもってしまうからです。さらに、背中は発汗量が多く、湿度が高くなりやすいのです。シーツの素材をリネン(亜麻)に変えましょう。リネンは吸湿性と放湿性に優れているので、夏の安眠には役に立つ素材です。
快眠のために冬できること
- 布団をあらかじめ温めておくこと
布団に入ったときに寝床が冷えていると、寝つきにくくなってしまいます。保温性の高い寝具を使うことも良いですが、湯たんぽや電気毛布、布団乾燥機などで、あらかじめ布団を温めておくと効果的です。体が温まると血管が拡張して熱の放出効率が高まり、深部体温が低下しやすくなります。 - 首や肩周辺を防寒すること
首の周りや肩のあたりの隙間から冷たい外気が入ると、睡眠の質が低下したり、目が覚めてしまったりします。肩こりの原因にもなりますので、肩や首のあたりにスカーフやタオルなどを巻いたりして肩や首周りの防寒対策をしてください。 - 温め過ぎないこと
眠りやすくするためには、寝つく時に体の末端血管を拡張して熱を体外に放出する必要があります。血管を拡張させるためには体を温めることが必要ですが、全身を温めすぎると深部体温が下がらず、寝つきが悪くなってしまいます。電気毛布は眠りにつく前には電源を切りましょう。つけっぱなしで眠ると、体が乾燥したり、本来持っている体温調整力を狂わせるだけでなく、体温が下がらず寝付けなくなっていまうことがあります。湯たんぽなどで手足の血管を拡張させ、体の深部の体温を放出しやすいようにしてください。 - 厚着しすぎないこと
過剰に厚着をして眠ることはおすすめしません。厚着で寝ると寝返りをしにくかったり、入眠に必要な深部体温の降下ができなくなって寝付けなくなってしまいます。また、毛布や布団を重ね掛けする人も多いですが、掛け布団を増やすと重たくなって、圧迫感を感じるだけでなく、寝返りもうちにくくなってしまいます。掛け布団や毛布を増やすより、敷き寝具を暖かくする方が保温効果があります。暖かな素材の冬用シーツなどにかえてみましょう。 - 寝室の室温を16~19度、湿度50~60%にすること
寝室の暖房を16~19℃の間に設定すると、もっとも睡眠感がよいという実験結果がでています。寝室の温度が13℃を下回ると寒さで目覚めてしまったり、寝つきがくなってしまいます。また、湿度にも気を配りましょう。湿度が下がりすぎると喉を痛めたり、呼吸がしにくくなってしまいます。乾燥を避け、寝室内の湿度を50~60%に保つように心がけるとよいでしょう。観葉植物を置いたり、濡れタオルを寝室に干すだけでも、かなり変わってきます。 - 急な温度変化を避けること
冬は布団の中の温度と室内温度との差が大きくなります。布団の中の温度は冬でも30℃以上になりますが、トイレや廊下は10度以下になることも珍しくありません。急激な温度変化を感じると目が冴えてしまうだけでなく、血圧上昇も急上昇してしまいます。寝床から出る時は温度差が大きくなり過ぎないよう、パジャマの上に何か羽織ったり、廊下やトイレなどにも暖房器具を置くようにしてください。
最後に
- 必要な睡眠時間と睡眠の周期を知ること
健康的で長生きする確率が高いのは、平均睡眠時間7時間の人であることが分かっています。しかし、睡眠はとても個性的なものなので、必要な睡眠時間は人によって異なります。大事なことは、自分が最も調子が良くなる睡眠時間と睡眠の周期を知って、それに合わせた生活をすることです。
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