不眠とうつ病の関係
うつ病の方の多く(8割以上)が不眠を訴えているといわれています。不眠とうつ病の間に強い関係性があるからです。
ある調査では、
- 不眠症状が先に現れてあとから抑うつ気分が起こる割合が約41 %
- 不眠症状と抑うつ気分が同時に現れる割合が約29%
- 抑うつ気分が先であとから不眠症状が起こる場合が約29%
でした。
つまり、不眠症はうつ病の原因にもなっていて、不眠症が原因でないうつ病の場合も、不眠症は早い時期に現れる症状だと考えられる可能性が高いということです。
また別の調査では1年間の継続観察の結果、うつ病でない人で不眠症状があって1年後にも不眠症状が続いていた人は、不眠症状のない人と比べてうつ病の発症率が約40倍でした。
同じような別の調査でも、不眠症状があった人は不眠症状がなかった人と比べて数年後におけるうつ病発症リスクが2〜3倍でした。
不眠症状はうつ病の危険因子であると考えられるということです。
ただし、不眠症状があっても不眠をキチンと治療した人はうつ病を予防することができるようです。
ある調査では、不眠の症状のない人がうつ病を発症する頻度を1として、不眠症状があって治療をしなかった人はうつ病発症率が40倍にでしたが、キチンと治療をした人は1.6倍程度でした。
不眠症状のある人はうつ病予防の観点から考えて、一刻も早く治療した方が良いということです。
ストレスや不眠が続くとHPA系(視床下部一下垂体一副腎皮質系)の活動が活発になります。
HPA系は心身を健全に保つためのホルモンを分泌していて、ストレスや不眠がつづくとホルモンをたくさん分泌して心身を守ろうとします。
しかし、これらのホルモンには覚醒度を高める働きもあって不眠症状が強くなってしまうのです。
不眠がHPA系を活性化し、HPA系からでるホルモンが不眠を増長するという悪循環におちいってしまうのです。
こうした悪循環がつづくと、副腎皮質ホルモンが脳の海馬を傷つけてしまうので、神経回路の機能が落ちてうつ病になるのではないかと考えられています。
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