睡眠相前進症候群
「朝早くから目覚めてしまう」と睡眠の不満について訴える人たち、特に高齢者に多いのが夕食後すぐに眠ってしまうという人です。
午後7時前後の早い時間に寝付くのですから早朝に目が覚めても午前3時に目が覚めたとしても8時間程度の睡眠をとっているわけですから不思議はありません。
このように睡眠時間帯が早い時刻に固定されてしまって極端な早寝早起きが1週間以上続くことを睡眠相前進症候群といいます。
睡眠相前進症候群の人は早い時刻(18時~20時)に寝付いて、早朝(2時~3時)に目が覚めてしまいます。
早朝に目覚めて眠れなくなること、夕方に強い眠気に襲われることが特長です。
若い人には少なく、高齢になればなるほど増加します。
若い人が睡眠相前進症候群になっても社会的な問題は起きにくいので、前回ご紹介した睡眠相後退症候群と比べると悩んで積極的に治療しようとする人は少ないようです。
睡眠の時間帯が段々前にずれ込んでしまうのは、生体リズムが加齢によって短くなることと関係していると考えられています。
また、体温変化、睡眠ホルモン(メラトニン)のの分泌パターンもズレ込んでくるようです。
稀にですが、生体リズムをつかさどる時計遺伝子の異常から起こることもあるようです。
睡眠相前進症候群の治療法
「高照度光療法」が有効です。高い照度(2,500~1万ルクス)の光を浴びて、目から入った光で脳の体内時計を調整する方法です。
寝る前に強い光を浴びると、睡眠・覚醒や深部体温、メラトニン分泌などのリズムも遅い方にずれていき覚醒します。
また、朝はサングラスなどを使って光を見ないようにすることでも睡眠の時間が早まることを予防できます。
さらに「高照度光療法」に「メラトニン療法」を併用する事で効果が高くなります。
メラトニン(睡眠ホルモン)の脳内の濃度が高まると眠気を感じるようになります。
メラトニンを飲む時間を調整する事できます。(生体時計同調作用)
「高照度光療法」と「メラトニン療法」を併用することで睡眠時間を調整していきます。
メラトニンの効果
- 抗酸化作用
活性酸素やフリーラジカルを直接除去する抗酸化作用があります - ホルモンへの影響
視床下部に働いて生殖ホルモンを抑制したり、成長ホルモンを分泌させたりします。 - 睡眠誘発作用
副作用の少ない睡眠薬として用いることができます。
メラトニンによる眠気は睡眠薬のような直接の睡眠効果ではなく、リラクセーション、もしくは鎮静効果だと言われています。 - 生体時計同調作用
メラトニンを夕方に服用すると睡眠のリズムが前にずれ、午前中に服用すると後ろにずれます。 - 深部体温低下作用
メラトニンは脳の温度を下げて興奮を鎮め、眠る時間を知らせる作用もあります。
不安や緊張で寝つけない時に効果が期待できます。
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