健康と美と幸せを科学する講座(1-3)

免疫力を低下させる原因

免疫力を高める方法を考える前に、なぜ免疫力が落ちてしまうのかについて考えてみましょう。

1.老化・加齢

免疫系の老化は20代から始まって40代でピーク時の半分以下、70代にもなるとピーク時の10%程度に落ちるといわれています。

2.運動不足

適度な運動が免疫細胞のNK細胞を増やします。筋肉量が低下するとアミノ酸の貯蔵量が減少し免疫細胞が減少・弱体化します。基礎代謝が低下し体温が低下します。

3.副腎機能の低下

副腎から分泌されるコルチゾールは免疫機能のサポートをつかさどるため、副腎が疲労すると花粉症などのアレルギー症状、自己免疫疾患を発症することもあります。さらにやる気を高めるアドレナリンやドーパミンなども分泌するので、ネガティブな気持ちになりやすくなりストレスにも弱くなるので免疫力の低下につながります。

4.身体の低温化

体温は免疫力を大きく左右します。平均体温が1℃下がると免疫力は30〜40%程度下がるといわれています。

体温と体の状態

5.血流の悪化

血流が悪くなると体の隅々に栄養や免疫細胞が運ばれにくくなるので免疫力が低下します。

6.自律神経の乱れ

免疫が正常に機能するためには自律神経のバランスが取れていることが大切です。自律神経には交感神経と副交感神経があって、副交感神経が優位な時(リラックスしている時)に体が回復し内臓の機能が高まり免疫機能が正常に働きます。自律神経は10年で15%ずつ機能が低下していきます。特に男性は30歳、女性は40歳を過ぎた頃から副交感神経の機能が急降下します。年を取ると怒りっぽくなるのは、加齢によって副交感神経が低くなっているのも理由のひとつです。

7.ストレス

強いストレスを感じると免疫に関わるナチュラル・キラー細胞(NK細胞)の活性が低下し、リラックスしたり好きなことをして笑ったっているとNK細胞の活性が上がります。強いストレスを受けると自律神経のバランスが乱れ、侵入してきた病原菌やウイルスなどの侵入を防ぐIgA分泌が低下して免疫力が弱まります。

落ち込む・疲れた女性

8.不規則な食生活や偏食

免疫細胞の材料アミノ酸(タンパク質を構成)が不足すると免疫細胞が減少・弱体化します。ビタミンやミネラルが免疫細胞の働きを強化するので不足すると免疫力が下がります。また腸内環境も免疫力に影響します。便秘がちの人は悪玉菌の繁殖とあわせ免疫力の低下も招きます。またお酒を飲み過ぎたり食べ過ぎたりすると、消化吸収にまわされるエネルギーが増加して免疫にに回るエネルギーが不足してしまいます。過度な飲酒は睡眠の質も低下させてしまうので気を付けましょう。

9.タバコや化学物質の過剰摂取

喫煙は免疫機能を低下させます。加工食品や嗜好品、医薬品の過度の摂取は活性酸素を生成して免疫力を弱めます。食品添加物や合成着色料、保存料などの科学的な添加物も免疫力を下げてしまいます。

10.タ夜更かし・睡眠不足や睡眠の質の悪さ

免疫細胞の働きは朝起きてから徐々に高くなって、夜11時を過ぎると低くなるといわれています。深夜まで起きていると活性度が落ちるので深夜型の生活を続けると免疫力は下がってしまいます。また睡眠中に体を回復しますので、睡眠の時間が短すぎたり質が悪いと体の回復を十分できないため免疫力が低下してしまいます。睡眠時間が短いほど唾液中のIgAの分泌量が低下します。寝る前に明るい場所(コンビニなど)に行ったり、スマホを見たりすることで睡眠の質が低下します。眠りの質が良い人ほど風邪の発症率は低下します。なお7時間未満の睡眠時間の人は、8時間以上の人に比べて約3倍風邪にかかりやすくなります。

11.生活リズムの乱れ

体内時計が免疫に大きな影響を与えています。朝の陽ざしをあびると睡眠ホルモンメラトニンの分泌をが減少して体温や血圧が上昇、活動できるモードになります。夜になると体温が上昇、メラトニンが増加して眠りが促進されます。免疫細胞の活性化は自律神経の影響を受けやすく、その自律神経と密接に関係しているのが体内時計です。体内時計は体温調整やホルモン分泌などの仕組みを機能させタイミングを調整するしくみなのです。

寝不足の女性

12.粘膜免疫の低下

粘膜免疫は粘膜組織で病原体などの異物が侵入しないよう働きます。実際に、その仕組みが正常に働くことで病原体の侵入を防いだ例として、プロの口腔ケアを受けて口の中を健康に保った高齢者は、インフルエンザの発症率が低かったという研究があります。

免疫力を上げるためにできること

①体温を上げる

  • 深部体温をあげる
    体温が高いとリンパ球が増加・活性化して免疫機能が高まります。体が温まると血管が拡張して副交感神経が優位になってリラックスしやすくなります。お腹を温めることで胃腸の働きが活発になり、副腎を温めることで副腎の疲労が緩和します。
  • お風呂
    入浴はぬるめのお湯でゆっくりと入りましょう。40度くらいのお風呂に10分以上つかるとよいでしょう。シャワーだけでは身体が温まらず交感神経が刺激されるため、あまりリラックスできません。
  • ストレッチ
    お風呂を出て筋肉が温まっているうちにストレッチをしてあげましょう。血流が促進します。寝つきも良くなります。
  • リラックス
    リラックスする習慣を持ちましょう。副交感神経が優位になることで血流が向上し回復力もアップします。
  • 運動
    運動の習慣をつけることが大切です。可能ならばうっすらと汗をかく程度の散歩ができるとよいでしょう。運動することで筋肉の熱産生効率がアップします。運動は免疫機能を向上させる他に、生活習慣病を予防したり、転倒を防いだり、脳を活性化させ るなどの効果があります。
  • 超短波を使って深部を温めマッサージする
    超短波とは毎秒2700万回振動する波長の短い電波です。身体の表面しか温められないホットパックやアンカなどに比べ、超短波は体内深部から温めることができます。脂肪や筋肉を通って身体の深部まで到達できる物理療法です。体を温めることで血管が拡張し血流も改善します。アンカやホットパック、お風呂では表面の5㎜ぐらいしか温まりませんが、超短波だと5cmから10cmまで温めることができます。
血流改善する

毛細血管

  • 血管の老化を食い止める
    血管は年とともに誰でも老化していきますが、老化以上に動脈硬化を進行することを予防していく必要があります。動脈硬化は血管の内側にある内皮細胞が障害されて動脈硬化を起こすといわれています。そのため内皮細胞の機能を保つことが動脈硬化の予防につながります。ビタミンC、ビタミンE、βカロテンは活性酸素の働きを抑え、血管の錆を予防する働きを持っています。野菜、果物、全粒穀物、豆類を多く食べ、ナッツは適度に食べると良いでしょう。赤身肉、魚、低脂肪または無脂肪の乳製品、植物油の少量摂取を勧めるものもありますが、いずれも飽和脂肪酸、固形脂肪、ナトリウム、砂糖、精製穀物の摂取は抑えるよう指示しています。食事から摂るのが基本ですが、不足を品質のいいサプリメントで補っても容易でしょう。また負電荷治療ででマイナスイオンを血管ないに注入し活性酸素の害を無害化する方法もおすすめです。
  • 適度な運動をする
    ストレッチを取り入れて体の柔軟性を保つことに加え以下のことも心がけましょう。動脈硬化は血管の一番内側にある内皮細胞の機能低下によって始まります。内皮細胞は血流が速くなると血管拡張物質である一酸化窒素(NO)を産生して放出します。すると一酸化窒素は中膜にある平滑筋に作用して平滑筋の緊張がゆるんで血管が広がります。血管を広げる働きは放出される一酸化窒素の量に左右され、一酸化窒素が不足すると血管は硬くなり、逆に十分に出ると血管をやわらかい状態に保つことができます。一酸化窒素量を増やすためには適度な運動が有効です。少し汗ばむ、中程度の運動が効果的であるといわれています。速歩やスロージョギング、室内ではベンチステップの運動などがおすすめです。1日30分程度を目安に行いましょう。加圧トレーニングだと、より短時間で効果的に一酸化窒素を出すことができます。
副腎をケアする

副腎疲労は「万病のもと」といわれています。副腎は左右の腎臓の上部にあるホルモン分泌器官でストレスに対処するホルモン「コルチゾール」をはじめ、生命の維持に欠かせない様々なホルモンを分泌する器官です。ストレスには精神的なストレス、大気汚染、食品の添加物、気温の変化、食生活の変化、持病や感染症など、体内で炎症を起こす恐れのあるもの全てが含まれています。ストレスが多くコルチゾールが過剰に分泌される状態が続くと、副腎が疲れて必要なときに十分な量を分泌できなくなってしまいます。この状態を副腎疲労といいます。副腎疲労になると炎症を抑えられず疲労感や様々な不調が出やすくなります。副腎疲労になるとコルチゾールが血糖値や血圧のコントロール、免疫機能や神経系のサポートをつかさどっているので、生活習慣病、うつ症状、花粉症などのアレルギー症状、バセドウ病などの自己免疫疾患を発症することもあります。やる気を高めて生理作用をコントロールするアドレナリンやドーパミン、性ホルモンなども分泌するため性欲の後退、女性ではPMS(月経前症候群)や更年期障害などの症状にもつながります。

  • 良質な睡眠を十分にとる
    疲れてしまった副腎の修復は睡眠中に行われます。10時から11時までには眠って十分な睡眠を取るようにしましょう。30分以内の短時間の仮眠は副腎回復に効果的です。仕事の効率アップにも役立ちます。
  • リラックス習慣をもつ
    リラックスすることも大切です。ヨガや瞑想をしたりヒーリングミュージックを聴いたり、アロマを楽しんだりして意識してリラックスする時間を取りましょう。
  • 朝コップ一杯の海塩水を飲む
    小さじ半分ほどの海塩を入れた水を飲むだけです。ナトリウム不足による立ちくらみ解消や気力アップに役立ちます。ただし精製塩ではなく海塩を使ってください。海塩にはナトリウムの他にもマグネシウム、カルシウム、カリウム、亜鉛、などの必須ミネラムが入っているからです。副腎疲労がある体内では慢性的にナトリウム不足が起こっているため、塩分を補給すると疲労感が和らぎます。量やタイミングは人それぞれですが、 小さじ1/8~1/4程度の海塩を200mlの水に溶かして飲むとやる気が出たり、その日を生きる活力が続きます。また高血圧などの疾患がある人はやめておきましょう。

窓際に立つ女性

  • ビタミンB群、ビタミンCを積極的に摂りましょう
    副腎が疲弊すると、特にビタミンB群を消耗します。ビタミンB、ビタミンCなどいくつかの栄養素は副腎皮質ホルモンの生成に役立ちます。ビタミンCは副腎髄質に存在するノルアドレナリンの合成に必要な補因子でアドレナリンの合成も助けます。 コルチゾールの生産が低下している多くの人がビタミンCが欠乏していることが多く、ビタミンCは副腎疲労の回復に有益と考えられています。
  • マグネシウムを補給する
    マグネシウムはHPA軸(視床下部-下垂体-副腎系)を調整する重要な栄養素です。また、副腎疲労の原因であるストレスはマグネシウムをより多く消費します。 マグネシウムにはリラックス効果や症状の一つである筋肉の痙攣を緩和してくれる効果があります。
  • タンパク質を十分に摂る
    タンパク質は体のエネルギーレベルや血糖値を安定させるとともに、副腎修復の材料になります。
  • 野菜・果物十分に摂る
    野菜や果物は副腎疲労の治療を発揮する抗酸化物質を多く含みます。
  • 朝食を食べる
    朝食をとらないとエネルギー不足により心身の機能が低下してしまいます。和食がオススメです。ジャムをぬったパンと砂糖入りのコーヒーなど血糖値を急激にあげるものは避けましょう。
  • タバコやコーヒーを控える
    タバコやコーヒーは副腎から分泌されるホルモン「アドレナリン」「ノルアドレナリン」「コルチゾール」の分泌を促す原因になります。これらのホルモンが過剰に分泌されている状況を作るため副腎疲労を加速します。
  • 小麦と砂糖、牛乳を減らす
    小麦のような生成された炭水化物や砂糖は血糖値を急激に上げてしまいます。また小麦に含まれるグルテンや牛乳に含まれるカゼインは、人によってはアレルギー源になって腸に炎症を引き起こすことがありますので注意してください。
  • 毒素をとらないこと、排出すること
    重金属や化学物質が体内にあると副腎が疲れてしまいます。お腹の調子を調えて便通を良くする、汗をかく、薬味をたくさん摂取するなどデトックスを心がけましょう。
  • 副腎を温める
    副腎を温めてあげましょう。副腎の働きが活発になります。使い捨てカイロなどを背中(肘のちょっと上あたり)にはって温めると効果的です。治療器をお持ちの方は超短波(体の深部を温める電気)を使うとさらに効果的です。
  • ストレスを回避する
    ストレスに対する対処法には「問題解決」、「環境変化」、「思考の置き換え」など様々なスキルが存在します。これらスキルを向上させ実情に合わせてストレスに対処することで、 副腎が疲労する原因を減少させることができます。
  • 運動する
    副腎疲労の症状が出ている場合、極度の疲労から運動を面倒くさいと感じるかもしれませんが、適量の運動を実施することで副腎疲労のいくつかの症状を緩和できます。特に加圧トレーニングは効果的です。加圧トレーニングは成長ホルモンの分泌を促進しますが成長ホルモンは強力なタンパク同化作用を有し免疫細胞の機能を増強します。また睡眠の質にも良い影響を与えるため回復力・免疫力が向上します。また成長ホルモンの分泌が少ない人は筋肉の量が減少しやすくなってしまいます。筋肉量と免疫力には相関関係があります。

夕日に向かって走るランナー

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奥村英樹

心理カウンセラー、加圧インストラクター、整体ボディケアセラピスト、スポーツフードアドバイザー、家庭物理療法師、医療機器の販売及び貸与営業所管理者など心と体をケアするための資格を持つ心と体のケアのスペシャリスト

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