優しさや愛情と体の関係
愛情や幸福感、快感はどこからくるのでしょうか?感情や感覚は心の問題や人間性に関わるものだと考えがちですが、恋をしたときのあの「ドキドキ」も「顔が赤くなる」のも全て脳の指令です。もちろん、心には神秘的な部分もあって、すべてを体の反応と言い切れないかもしれませんが・・・。
多くの人は恋をした時、胸がドキドキするような体験をします。あるいは恋人といる時や、恋人のことを思う時、あふれるような幸福感にみたされた経験があるとおもいます。我が子を抱きしめる母親もそうした幸福感を味わっていることでしょう。大切な人と恋愛をしている時、我が子を抱きしめる母の「心の動き」は、なぜ起こるのでしょう?
最近の研究で「脳内に分泌する成分」とその物質の刺激によって発せられる信号を伝達する神経回路の働きであることがわかってきています。
恋をした時、愛を感じている時、脳の中ではどんなことが起きているのでしょう?恋愛などで恋に落ちる時、脳内では「ノルアドレナリン」という物質が活発に動いています。「ノルアドレナリン」は覚醒や興奮に大きく関係している神経伝達物質で、交感神経を活性化させ、心拍数や血圧を高めるといった変化をひきおこします。「不安」や「恐怖」とも大きな関わりをもっています。
「恋をしたときの胸のドキドキ・ハラハラ」も、この物質の働きによるものです。この「ノルアドレナリン」が出過ぎると、「過度に緊張した時」と同じような状態になるので「大好きなあの人の前だと何も話せない」「顔や耳たぶが赤くなって恥ずかしい」なんてことになってしまうのです。
恋が成就して恋人に会おうとする時や、大切な我が子を抱きしめる時、脳内には快感物質「ドーパミン」が分泌されます。快感や性欲を増進させる物質です。(「食欲」や「意欲」(欲全般)との関わりが深いといわれています)
さらには、βーエンドルフィンやPEA(フェニールエチルアミン:恋愛ホルモン)が脳内に分泌しています。βーエンドルフィンにはモルヒネ(麻薬、鎮痛剤)の6倍以上の快感を感じさせる作用があるといわれています。
恋愛中や大切な我が子を抱きしめる時は、こういった脳内麻薬のおかげですばらしい快感を味わうことができます。反対に恋人との別れや我が子を亡くした喪失感や苦痛、つらさは、こうした物質の「禁断症状」です。
大切な人との安定した生活の中では脳内に「セロトニン」という物質が安定的に分泌されます。これは幸福感の安定に関係があり、夫婦や親子、家族の愛情にも大きく関わっています。幼い時期に親と隔離されて飼育されたサルはセロトニンの分泌量が少ないので自分の子も育てないそうです。
恋愛感情を感たり優しい愛情を感じるということは、脳の中での脳内物質やホルモンの働きの結果なのです。
- 脳内物質やホルモンの分泌量は個人差があります。脳内物質やホルモンが正常に分泌されていても、そこから生まれる信号を効率よく体の各部に伝えられなければ恋愛感情も愛情もうまく感じられません。
- 信号が神経回路をうまく伝わったとしても、その感覚(愛情、恋愛の時感じる体の感覚)を各部位(胸、心臓など)の感度が悪ければ、恋愛感情もも愛情もうまく感じられません。
- 各部位が正常に働いていても、栄養状態が悪く脳内物質やホルモンの材料が摂取できていなければ、恋愛感情もも愛情もうまく感じられません。
- 生活習慣の乱れ(リズムが狂うことで各臓器の働きが悪くなります)、睡眠不足(寝ている間に作られる脳内物質は多いのです)、筋力の衰えやそれによって姿勢が悪くなることによって、各部位の働き、脳内物質やホルモンの生産量が減少していると、恋愛感情もも愛情もうまく感じられません。
どうすれば愛情や優しさといった心地よい感覚を強く感じられるのでしょうか?重要なのは「人間の身体は使ったところが強くなる」という黄金ルールです。筋肉のトレーニングと同じことです。筋肉トレーニングの時は鍛えたい筋肉に意識を向け、使い、正しく栄養補給し、正しく休息をとることで鍛えたい筋肉が発達します。
愛情や優しさを強く感じ幸せな毎日を過ごしていくためには、愛情や優しさの感覚にできるだけ多く意識を向けてドンドン愛情や優しさの回路を鍛えていくことが大切です。
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