大きな誤解
人は自分以外の人も皆自分と同じ世界を見たり感じたりしていると思い込んでいます。
しかし、実際は自分と同じ世界を見たり感じたりしている人はいません。
センサー
写真を見てください。左上の写真が原本で、それに対して露出、コントラスト、色温度の設定を変えただけで全く違った印象の写真になります。
映像や音を調整する仕事をしている人なら、こうした印象に影響を与える要素がたくさんあることは知っているはずです。
一般的な写真の印象を調整する要素だけでも、露出、コントラスト、ハイライト、シャドウ、彩度、色温度、色合い、シャープネスなど多岐渡ります。
さて、あなたの視力はどれぐらいですか?2.0という人もいれば0.01なんていう人もいるでしょう。
外国ある部族の人の視力をはかったら6.0というものすごい視力の人もいたそうです。
視力が良い人悪い人がいて個人差があることは誰でも知っています。
しかし、視覚の印象を調整するたくさんの要素にも個人差があります。
写真をみて想像してみてください。
画像の印象を調整する機能に差があれば同じものを見ても大きく印象が異なるのです。
だから同じ景色を見てもものすごく感動して写真に撮って残したいという人もいれば、あまりその美しさに感動できずにポカンとしている人もいるのです。
脳での選別・加工
脳では視覚・聴覚・身体感覚から入力された情報の選別・加工が行われます。
自分にとって必要(興味がある)情報を選び出し、さらにそれを過去の経験と照らし合わせて、その情報が過去の情報と見合うように加工します。
例えば卵を食べて食中毒になった人は、それ以降卵の映像を見ると吐き気がするほど不味そうに見えたり、とても不快な臭いに感じたりします。
無理やり食べてみても美味しく感じません。
それは過去の情報に基づいて、脳が卵の情報を加工して卵を食べないようにしているのです。
過去の苦しい経験を2度としないようにするためです。
反対に、それまであまり好きではなかった魚料理を、大好きな人と食べたらそれは自分にとって好ましい情報と結びついてとても美味しい料理になるのです。
情報への反応
さて、最後に脳からの情報に対する体の反応という機能にも差があります。
大好きな人に会ってワクワクする感じ、反対に嫌いな人に会って体が重たくなる感じなど脳からの情報を体が受け止め、その情報に見合った反応を起こすための信号を神経やホルモン、脳内物質などを通して送ります。
そして、その信号によって体が反応しますが、その感覚もまた脳にフィードバックされます。
この一連の反応は神経の感度や受容体の数、分泌量やバランスによって強度が変わってきます。
ここでも様々な要素のバランスに個人差があるため、感じる感覚や感情などの強度や長さ・種類に大きな差が生まれます。
3つのフィルター
このように外部の情報を受け取り理解し実感するためには、3つのフィルターを通ります。
その3つのフィルターにはたくさんの要素が含まれていてそのバランスの個人差はかなりあります。
ですから同じ状況にいても、自分が受け止めている世界と他の人が受け止めている世界にはかなりの差があるのです。
他者が自分と同じものを見聞きし、感じているという誤解が多くの誤解やトラブルを引き起こします。
「自分の世界は自分だけのもの」ということを意識することで、誤解やイサカイの多くを回避できるのです。
[cft format=2]
[cft format=3]
コメント