加圧トレーニング理論編(31)

腕や脚以外の筋肉は?

加圧ベルトを巻くのは腕と脚だけですが、実はそのほかの部分にもさまざまな運動効果を得ることができます。

加圧トレーニングは腕や足のつけ根(基部)に加圧ベルトを巻いて血流制限を行うことでトレーニングを効果的に行うトレーニングですので、直接的に加圧ベルトによる血流制限の影響を受けない体幹部にはあまり効果がないと思っていらっしゃる方も多いようです。しかし、そのほかの部分にもさまざまな運動効果を得ることができます。

ベンチプレスで加圧をした場合としていない場合を比較した実験があります。ベンチプレスを行った際の筋肉活動の変化を腕(上肢)と胸部で観察しています。

  • 負荷:1RMの30%
  • セット:4セット(最初のセットは30回で、その後は15回を3セット、セット間の休息は30秒)
  • 筋肉の活動量を筋放電を計測することで計測

1セット目の筋放電量は上肢・胸部ともに加圧ありと加圧なしの間に差は見られませんでしたが、2セット目から筋放電量の増加は加圧ありのトレーニングで願著に増加しました。注目すべきことは、その現象が腕だけでなく胸部でも観察されたことです。その現象はセット数が進むほど顕著に現れました。

つまり加圧をすることで直接血流制限を受けてた腕の筋肉だけでなく、直接血流制限をしていない体幹部の筋肉でも筋放電量が増加しているということです。腕の筋群が疲労してくると協同筋である胸部の筋群が動きを補おうとして、通常よりも高い筋活動を示すからではないかと考えられています。ですから加圧トレーニングを行う場合、腕や脚のトレーニングの種目を行う場合、協同筋の働きについても知識を持って行っていくことが望ましいといえます。

 

背中の筋肉

筋肉の分類
  • 「主動筋」
    動きを繰り出す代表の筋肉です。これが動きを生み出す主役の筋肉です。
  • 「拮抗筋」
    主動筋と反対の動きをして主動筋の動きを引き立てます。
  • 「協同筋」
    主動筋と一緒に動くサポーターです。例えば、首の屈曲は胸鎖乳突筋と椎前筋によって制御されていますので、胸鎖乳突筋の協同筋は椎前筋、椎前筋の協同筋は胸鎖乳突筋ことになります。
部位動作主動筋⇔協同筋拮抗筋
屈曲(前屈)※逆は「伸展(後屈)」胸鎖乳突筋 椎前筋板状筋 脊柱起立筋 後頭下筋 短背筋
屈曲(前屈)※逆は「伸展(後屈)」腹直筋 外腹斜筋 内腹斜筋長背筋 短背筋
上肢帯拳上※逆は「下制」僧帽筋(上部) 肩甲挙筋 菱形筋鎖骨下筋 小胸筋 僧帽筋(下部)
外転(屈曲)前挙筋 小胸筋僧帽筋(中部) 菱形筋
上方回旋※逆は「下方回旋」僧帽筋(上部・下部) 前挙筋菱形筋 小胸筋
屈曲(前方拳上)※逆は「伸展(後方拳上)」三角筋(前部) 大胸筋(鎖骨部)三角筋(後部) 大円筋 広背筋
外転(側方拳上)※逆は「内転」三角筋(中部) 棘上筋大胸筋(腹部) 大円筋 広背筋
外旋※逆は「内旋」棘下筋 小円筋肩甲下筋 大円筋
水平屈曲(水平内転)※逆は「水平伸展(水平外転)」内転90°までは・三角筋(前部) 大胸筋 烏口腕筋三角筋(中部・後部) 棘下筋 小円筋
前腕回外※逆は「回内」回外筋・上腕ニ頭筋方形回内筋 円回内筋
屈曲(掌屈)※逆は「伸展(背屈)」橈側手根屈筋 掌筋 尺側手根屈筋長橈側手根伸筋 短橈側手根伸筋 尺側手根伸筋
橈屈※逆は「尺屈」長橈側手根伸筋 短橈側手根伸筋尺側手根屈筋 尺側手根伸筋
屈曲※逆は「伸展」腸腰筋 大腿筋膜張筋 大腿直筋 恥骨筋大殿筋 大腿二頭筋(長頭) 半腱様筋 半膜様筋
外転※逆は「内転」大腿筋膜張筋 中殿筋大内転筋 長内転筋 短内転筋 薄筋 恥骨筋
外旋※逆は「内旋」大殿筋 外閉鎖筋 内閉鎖筋 上双子筋 下双子筋 大腿方形筋 梨状筋小殿筋
伸展※逆は「屈曲」大腿四頭筋 大腿筋膜張筋大腿二頭筋 半腱様筋 半膜様筋
外旋※逆は「内旋」大腿二頭筋半腱様筋 半膜様筋
屈曲(背屈)※逆は伸展(底屈)前脛骨筋 長趾伸筋 第三腓骨筋長腓骨筋 腓腹筋 ヒラメ筋 足底筋
内がえし(回外+内転+底屈)

※逆は「外がえし(回内+外転+背屈)」

後脛骨筋 長趾屈筋長腓骨筋 短腓骨筋
足趾屈曲※逆は「伸展」長趾屈筋 長母趾屈筋長趾伸筋 長母趾伸筋

奥村英樹

心理カウンセラー、加圧インストラクター、整体ボディケアセラピスト、スポーツフードアドバイザー、家庭物理療法師、医療機器の販売及び貸与営業所管理者など心と体をケアするための資格を持つ心と体のケアのスペシャリスト

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