逆説性不眠症
眠れているのに眠れない
「全然眠れない」という理由でお医者さんを受診したのに、睡眠中のポリグラフテスト指示されて行うと「睡眠は正常です」といわれてしまうことがあります。このように本人が「全然眠れない」と感じているのに検査をすると、睡眠障害の「正常」証拠が得られない不眠症を「逆説性不眠症」と呼んでいます。
訴えと検査の結果が「逆」という意味です。逆説性不眠症は不眠を訴える患者さんの5%以内と考えられています。20歳代から40歳代の女性が多いといわれています。ポリグラフ検査を行うと実際のデータより入眠潜時は遅く、夜中に目覚めていたと時間も長く(実際の1.5倍以上)本人は感じていることがわかります。だから総睡眠時間を短く感じて「全然眠れない」という申告になるのです。
逆説性不眠症の方の脳波を測定すると、深い睡眠が減ってCAP(Cyclic Alternating Pattern)というパターンが多くなっています。CAPはノンレム睡眠中に発現する周期的な脳波活動で、睡眠の不安定性を反映するパラメータとされています。最近、新しい睡眠評価法として利用されています。
逆説性不眠症の診断基準 |
症状は不眠症の基準を満たす(不眠症の全般的診断基準により判断) |
不眠は最低1カ月持続している |
以下の1つあるいは1つ以上の基準を満たす |
正常な睡眠時間を確保しているのに、「慢性的にきわめてわずかしか、あるいは全く眠れていない」と訴える |
睡眠日誌による評価では、1週間以上にわたって同年齢の正常者と比べて睡眠の質と量が明らかに劣っている |
客観的なポリグラフあるいはアクティグラフの結果と、主観的な自己報告、あるいは睡眠日誌との間に大きな違いがある |
少なくとも以下の1項目は満たす |
一晩中、周囲からの刺激を感じている |
寝床にいる時間のほとんどで、何か考え事をしている |
不眠による日中の症状もある程度あるが、その訴えは、患者の極度の不眠の訴えと比較して深刻ではなく、日中に全く仮眠を取らない、まったく眠れていないと評価した翌日も、覚醒度や注意力の低下はひどくない |
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