体性感覚と思考とストレス の関係
脳は皮膚、筋肉など外部からの刺激情報を体性感覚野という場所で受け取ります。受け取った情報によって、体性感覚野は必要な刺激を脳の各部に送ります。つまり外部からの刺激をしっかり受け取ることで脳への刺激が増え活性化されるということです。
このような理由から、スイスの心理学者ジャン・ピアジェは子供の思考の発達と身体の感覚の関連性を重視しています。ピアジェ理論に基づいた「思考のための学校」ではボディーワークと学習的発達を関連付けて学習段階を進めていきます。
地図を正確に読み取るためには、空間的感覚や形状の認識能力、建物や道の概念などが明確になり、それが関連付けられていなければならないからです。つまり、体性感覚を鋭敏に感じ取ることができることで、地図を読み取る力やそれに従って目的地に向かう能力が身につくのです。
同じように思考力、推理力、集中力、問題解決能力、ストレス耐性などの様々な能力も体性感覚を向上させることで高まっていきます。
マサチューセッツ工科大学にある「ストレスクリニック」では、8週間のストレス軽減プログラムに入る前の患者さんに目をつむってもらって口に干しぶどうを入れるというテストを行います。極度のストレスを長期間抱え、体性感覚が低下している患者さんのほとんどは、口に入れられたものが干しぶどうだとわからないそうです。そして、8週間のプログラムの中で身体の感覚を丁寧に感じ取るボディースキャンやヨガを繰り返し練習することで体性感覚のリハビリを行っていきます。8週間のプログラムに取り組み体性感覚のリハビリが進んだ患者さんの多くはストレスが軽減されたと感じられるそうです。
身体の感覚に意識を向け、丁寧に感じ取ることで体性感覚を敏感にしていきましょう。体性感覚の感度が向上することで脳の様々な部分が活性化し、様々な能力が向上するのです。
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